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◆イサキ釣りの巻
釣法1
《竿ビシ》
まず初めにイサキ釣りでは最も一般的で主流をなす、中大型を狙う持ち竿に
よる竿ビシ釣りを紹介する。
竿
最近軟調の長竿でイサキを狙う人が増えてきたが、あくまでもイサキは、竿を
手にして誘って釣ることが基本と考える。それには、相応の竿を使用するのが
望ましい。オモリは南房〜相模湾では50〜80号を使用するので、オモリ負荷は
30〜50号表示のものでいいだろう。竿の調子としては、追い食いを狙う釣りだ
けに、軟調とまではいかないが、魚が掛かってから胴に乗ってくる調子がベスト
だろう。長さとしては2.4メートル前後で、なるべく軽い竿を選びたい。
リール
中型の両軸タイプで、道糸テトロン系6号が200メートル巻ければ十分。なお
かつ水深計内臓のもの。竿とリールのバランスは、誘い釣りにとって非常に大
切である。いくら高性能のリールであっても、竿とのバランスが悪ければギク
シャクした釣りになる。
道糸、テンビン、コマセカゴ
やはり主流の道糸は新素材系である。しかし、従来のテトロン系でも通用しない
わけではない。1メートルごとのマーキング付きで新素材ならば4〜6号、テト
ロン系は6〜8号を巻いておけば、まず問題ない。次に先糸だが、あえて付ける
必要はない。巻き上げ時の目安とするなら5メートルほどにとどめたい。コマセ
カゴはオキアミ用、アミ用の2通りで、地区によって分けられる。相模湾、東京
湾口と南房洲崎から布良、そして江見、太海地区がアミコマセ、白浜、千倉方面
及び伊豆下田、駿河湾方面、伊豆諸島はオキアミコマセとなっている。プラス
チック製のオモリ一体型なら、コマセの流出調整でどちらのコマセにも使用可能
である。アミコマセの場合には他に金網製のアンドンビシやステン缶も使われて
いる。大きさは、M〜Lサイズが標準だが、地区によってはカゴの大きさが決めら
れている場所もあるので、釣行前に確認したほうが無難である。クッションゴム
は必需品と考えていい。直径1.5ミリ、長さ30〜50センチぐらい。イサキのハリ
掛かりをよくする他、楽しみな外道、とくにシマアジやマダイなどには大きな効
果がある。テンビンは、中型片テンビンを使用する。
仕掛け
まず基本仕掛けだが、ハリス2号の2〜3本バリ、仕掛けの全長は3メートルほど
である。そしてハリはチヌの3〜4号がよい。イサキの仕掛けで最大の特徴といえ
ばバケ(疑似餌)で、2〜3年前から使用されているウイリーの人気が高く、スキ
ンや空バリはすっかり影をひそめている。また、色においてもイサキには不向き
とされていた赤糸のピンクのウイリーに、良型イサキが掛かってくることもある。
一概に赤糸が不向きと決めつけることはできないようだ。しかしすべてのハリが
ウイリーというのも考えもので、思わぬ落とし穴が待っていることもある。澄み
潮などでは擬餌バリにはまったく食わず、オキアミやイカタンを付けたハリだけに
食ってくることも珍しくない。逆にエサ取りが追い場合、付けエサだと釣りになら
ないこともあるので要注意。その日の天候、あるいは潮の関係などから当然仕掛け
も変わっていくものである。
誘い下げを覚えよう
まず、イサキ釣りでは船長からのタナの指示は、ほとんど海面からとなる。イサキ
の群れの上部付近を狙うわけだ。投入合図とともに仕掛けを下ろすわけだが、最初
は船長から出されたタナよりも3メートルほど余分に仕掛けを下ろす。この時、潮
の流れにも左右されるが、あくまでも魚探による垂直深度を考慮したうえのもので
ある。仕掛けを下ろしても、すぐにコマセを振るのは避けたい。仕掛けが落ち着い
てからコマセを振ることによって、道糸あるいはテンビンとハリスの絡みを解消す
ることができる。誘いのテクニックであるが、ただコマセをまき、その煙幕の中に
仕掛けを入れてアタリを待つのでは、だれもが行っていることである。この一連の
動作で、イサキが食ってくれればなんら問題はないのだが、食い渋りのイサキには
これでは通用しない場合も多い。アタリがくるまでジッと待つのではなく、煙幕の
中に入れた仕掛けにアクションを加えることが必要だ。竿先に段をつけて上げてみ
たり、リールをゆっくり巻くことにより擬餌バリが動いて、イサキの食い気を誘う
わけである。この誘い上げでも食ってこない場合、コマセを振ったあと逆に仕掛け
を下げるアクションを加える。そこで、誘い下げのテクニックだが、あらかじめド
ラグを緩めに調整しておき、あくまでも沈んでいくコマセに合わせて、道糸を親指
と人差し指で引き出し、ゆっくり仕掛けを下ろしていく。このとき擬餌バリにアク
ションをつけるために、30センチ刻みで仕掛けを止めてみるのも効果的である。
誘い上げと、誘い下げをミックスすることにより、思わぬタナを見つけ出すことも
あり得る。
釣法2
《手ビシ》
目を閉じて、人差し指の腹に乗せた道糸に全神経を集中する。いきなり、ググンと
イサキの魚信が出る。追い食いを誘うようにゆっくり道糸をたぐると、2度目の
イサキがハリ掛かりして、指先に伝わる魚信はさらに力強く、複雑になる。魚が暴
れる動きの一つ一つが、道糸を通して直接伝わってくる。まるで、道糸から、指先、
身体を通って脳へと、電流が流れるような、しびれる快感が伝わってゆく。そして、
一手一手と道糸をたぐり上げ、船内に無事、良型のイサキをハネ込んだ時は、釣り
をしたという実感が、ひしひしと心の中に充満してくる。これが手釣りの醍醐味な
のだ。
道具
木枠に巻いた24号の手釣り用道糸と、ゴムの指サックだけ。「上から何メートル」
という船長の指示どおり、イサキ釣りは正確なタナ取りが必要だから、1メートル
毎に印を付けておく。補修糸などを巻いて目印にしても良い。
釣り方
釣法は竿釣りとあまり変わらず、仕掛け、タナ取り、コマセワークについてはまった
く同じと思って良い。ただ、竿釣りでは穂先に出たアタリを視覚で取るのに対し、
手釣りでは道糸を通して指先の触覚で取る。触覚は視覚よりもはるかに敏感で、エサ
取りがコマセカゴをつついたり、付けエサをかすめ取る微妙なアタリをはっきりと感
じ取ることができる。手に取るように分かるとは、まさにこのことだろう。指示され
たタナでコマセを軽く振り出し、道糸を一手か二手たぐってアタリを待つ。アタリが
あったら、追い食いを誘うように、ゆっくり二手たぐる。追い食いを待つのはなかな
か勇気が必要で、1分が5分以上に感じるが、イサキの口は硬いので、追い食いを待
つ間にハリが外れることは少ない。思い切って多点釣りにチャレンジしてほしい。
釣法3
《置き竿》
置き竿釣法が盛んでかつ、イサキ釣り場としても知られる地区はなんといっても駿河
湾の御前崎沖周辺から沖合いの金洲、カド根、一枚芝一帯。また、南伊豆地区の神子
元島周辺、大島利島、新島、神津島などの離島周り、相模湾の真鶴地区なども置き竿
で釣る場合が少なくない。
竿
置き竿の場合も、長さは3〜3.3メートルが標準。これ以上長いと、イサキ専門の場合
は使いにくい。使用オモリが60〜80号の場合は30〜50号負荷、100号の場合は50〜80
号負荷の竿を使用する。
リールと道糸
特に置き竿専用ということはないが、前述の置き竿を取る釣り場は水面からのタナの
設定が一般的。そこで、水深計付き中型両軸受け型のリールにマーク付き道糸を巻い
てキッチリとタナを合わせる。道糸は新素材系の場合、イサキ専門なら4号でもよい
が、釣り場により他魚との併用を考慮すると、金洲および離島周りで8号、他の地区
で6号を予備を入れて200メートル以上巻いておく。
コマセカゴ
置き竿の場合、コマセが少しずつ、断続的にポロポロ出るようなタイプが必要。地区
により、コマセにオキアミを使う場合はオキアミ用ステン缶、またはプラスチックビ
シを使用する。アミコマセの場合はプラビシの上部の穴は閉じる。下部の出口をやは
り潮流やウネリの大きさにより、6〜8ミリ幅に調整する。
仕掛けと付けエサ
持ち竿に比べ、大き目のテンビン(ウデ長45センチ)とビシカゴを使用。ハリスは真
鶴地区でコマセダイとの両狙いの場合は、3号7〜8メートルが標準。南房総方面では
小型シマアジ、メジナも期待できるのでハリス3号4.5メートル。金洲でイサキ、マ
ダイの五目釣りの場合は何がくるか分からないので、ハリスは最低でも8号6〜7.5
メートル2本バリを使用する。ハリは向こう合わせの場合が多いのでグレバリ、ムツ
バリがバレが少ない。仕掛けが海中に入っている時間が長いので、エサ取りに備え、
3本バリのうち少なくとも2本はウイリー巻き、アジカブラなどの擬餌バリを併用する。
また、比較的エサ持ちのよいイカエサも持参する。
釣り方
最初のタナ取りとコマセまきまではもち竿と同様。その後アタリが出ない場合は再度
タナを取り直し、竿をキーパーにセット。ちなみに、潮の速い場合は置き竿といえど
も潮上の釣り座はどうしても不利なので、対応策を述べる。船の人数が少ない場合に
のみ可能であるが、まずハリスを長目に取る。標準で4.5メートルなら6メートルく
らい。隣人とのオマツリを避けるため、タナよりもハリス長分ビシを沈め、コマセ
は出さずその位置で仕掛けが安定するまで待つ。その後、ゆっくりビシタナを上げて
ゆくが、本来のタナよりも1メートルくらい下の位置にとどめてコマセを軽く振り、
そのままキーパーにセット。潮下の人よりも低いタナを釣ることになり、不利は否め
ないが、オマツリが防げるうえに全く釣れないよりはまし。
釣法4
《サビキ》
この魚の旬は初夏である。ゆえに5〜6月は、油が乗った産卵前のおいしいイサキが、
数釣りできるベストシーズンとなる。 釣ってよし、食べてよしの優れものゆえ、ビ
ギナーの方には、ぜひとも今の季節に釣行することをおすすめしたい。そんな方がた
に最適なのがサビキ釣りだ。”イサキはタナを釣れ”と言われるほど、タナ取りの難
しい釣りだが、上下に長いサビキ仕掛けならタナ取りは容易。加えてオマツリも少な
く、アタリがダイレクトに伝わるのもサビキ釣りならではである。サビキ釣りの対象
となるのは、主に20〜25センチ級の中型で、それも初期ほど効果がある。
竿
仕掛けの全長を考慮し、2.7〜3メートル前後のものが扱いやすい。オモリ負荷は30
号程度で、調子は七三か腰のある胴調子のもの。前者はコマセの振り出し、ハリ掛か
り後の巻き取りが容易で、後者はバレにくく、また時折交じるメジナやマダイなどに
も対応しやすい。
リール&道糸
リールはパワーのある両軸タイプの中型が望ましい。タナの変化に対応できるよう、
水深計内臓型か、1メートル毎に目印の付いた道糸を使用すること。道糸の太さは4
号で十分。時折ビックサイズのコマセカゴを使用している方を見かけるが、大量の
コマセですぐに満腹状態となるだけでなく、流れ去るコマセを追って群れが離れて
しまう。またオマツリの原因ともなり、釣れるものも釣れなくなるので注意したい。
仕掛けは、幹糸3〜4号、枝ス1.5〜2号20センチで、全長3メートル近い5〜8本
バリ。ハリは金チヌの2号か3号で、チモトにグリーンの蛍光玉やビニールパイプ
付きが一般的。バケはスキンやウイリー、魚皮などが使われる。スキンやウイリー
には、大別してピンク、グリーン、ホワイト系があり、これらを単色あるいは交互
に組み合わせたものが、数多く市販されている。
釣り方
まずは仕掛けを投入。指示ダナプラス1メートルで糸を止め、竿をソフトに2〜3回
あおってコマセを振る。次にコマセの煙幕にサビキがくるようタナまで巻き、さら
に軽くコマセを出す。そしてアタリを待つが、ここでサビキを踊らせると、より効
果的だ。食いの立っているときは、最初にコマセを振った段階で、竿先がガンガンと
叩かれるはず。が魚影の薄くなった最近は望むべくもない。そこで再度コマセを振り、
リールを巻きながら誘い上げる。この繰り返しを都合3回もしたら、仕掛けを上げ、
再びコマセを詰めて指示ダナ付近まで下ろす。アタリがあったら必ず追い食いをさ
せる。ビギナーは最初のアタリでリールを巻くケースが多いが、これではサビキ仕掛
けの意味がない。掛かったイサキが暴れることにより、コマセがガンガン放出され、
次つぎと追い食いするはず。アタリを数えながらパーフェクトを狙うのが、サビキ
釣りの醍醐味である。アタリの出たタナを集中的に攻めるのは当然のことだが、食
いが立ってくると、コマセを追ってタナがどんどん上がってくる。逆に食い渋った
ときはまず動かない。このことを頭に入れ、常に当たりダナを見失わないように。
なお、この釣りには合わせは不要。向こう合わせで十分ハリ掛かりする。